20世紀デモクラシー論史を叙述する際、その初期にあたる「大衆社会論」からその末期に隆盛を極めた「市民社会論」の間で、何が継承され、何が変容したのかを明らかにすることを目的とする。デモクラシー関する膨大な言説をすべて解き明かすことではなく、19世紀末から20世紀にかけての「民主化」のキーワードが「大衆」、1970年代以降の世界的な「民主化」のキーワードが「市民」であったことに注目することで、20世紀を通じてデモクラシー論が民衆のあり方をどのように位置づけてきたのかを理論的に明らかにすることが狙いである。また、20世紀末に議論が噴出してきた「シティズンシップ」の再検討をも、研究に含むことになる。
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