本年度は、まず「参加ガバナンス」に関する理論の整理・分析を行い、分析枠組みをまとめた(編著『参加ガバナンス』日本評論社、2006年11月を参照)。 日本の「市民自治体」と市民活動ネットワークに関しては、環境自治体の資料を収集し、三鷹市、多摩市などにおいて、行政、市民活動のメンバーに対するヒアリング調査を行い、関連して日独の研究者と意見交換を行ない、自治体改革の実態と課題について分析を行った。さらに、「市民と議員の条例づくり交流会議2006」「市民自治体への道--いま問われる分権時代の議会の役割」に参加し、自治体議会の改革の方向、コミュニティ活動と自治体議会に関して議論を行った。その後、この交流会議の議論を受けて、2007年1月に「自治体議会改革フォーラム」の活動が開始されている。これらを通じて、日本における市民自治体の重要な課題の一つである自治体議会の改革とそれに向けた新しい動向(自治体議会のイニシアティブによる議会基本条例の制定、議会改革の提案と実践-議会を議員の自由討論の場に、議会の政策づくりへの市民参加-等)について調査を行った。 ドイツの市民自治体と市民活動ネットワークに関しては、ハイデルベルク市において、環境政策の担当者にヒアリング調査を行った。さらに、ハイデルベルク大学日本学研究科において講演「日本における市民活動の発展と『市民自治体』への道」を行い、シュプロッテ博士らと研究打ち合わせを行った。ハレ市において、ハレ大学日本学研究科フォリヤンティ=ヨスト教授らと日本とドイツの事例について意見交換を行ない、今後の調査研究の打ち合わせを行った。さらに、ベルリンにおいて、資料収集を行った。ドイツにおいても、自治体選挙における投票率の低下が問題となっている。
|