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2007 年度 実績報告書

改革開放期中国における思想・イデオロギー変動

研究課題

研究課題/領域番号 18530104
研究機関愛知大学

研究代表者

砂山 幸雄  愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00236043)

キーワード政治思想史 / ナショナリズム / 市民社会
研究概要

本年度は、「ナショナリズム」「市民社会」「公共知識人」をテーマとする近年の中国の論調の変化を、書籍・雑誌・新聞・ウェブ上で調査した。このうち「ナショナリズム」については、中国学術情報データベースを使って、「民族主義」・「愛国主義」という語彙の使用頻度の推移、またそれらと「中国」「日本」「アメリカ」「グローバル化」等の主題との相関関係について分析した。申請者は2002年までについて簡単な分析を試みたことがあったが、今回は特に、それ以後の中国で反日感情が高まった時期を詳細に分析することに努めた。これにより、従来、異端思潮とみなされてきた「民族主義」の主張が、今世紀に入ってから体制の正統イデオロギーに次第に浸透している状況が明らかにされた。また、1990年代の「民族主義」がアメリカへの対抗を軸にして主張されていたのに対し、世紀交替期には「グローバル化」との関連で言及頻度が高まったことも指摘できる。「日本」と「民族主義」との関連は当初予想されたほど顕著ではなかったが、少なくとも「日本」問題が従来、異端思潮・異端勢力であった「民族主義」を公然と主要メディアに登場させる契機となったことは重要である。これらの新たな知見の一端は北京でのシンポジウムですでに発表し、今後報告書で詳述する。また2009年刊行予定の共著書(村田雄二郎東京大学総合文化研究科教授と)のなかで、さらに考察を発展させる予定である。「市民社会」論に関しては、今世紀に入ってから急速に言及頻度が高まり、概念としては一定の市民権を獲得したことが明らかになった。これは、改革志向の強い胡温体制の成立と関連しているものと見られるが、同時に、従来権力とは一定の距離を保っていた自由主義知識人たちの国家への接近現象も読みとることができる。近年、「公共知識人」に関する議論が高まっているのは、知識人と国家との新たな関わり方の模索と考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「格差大国」中国2007

    • 著者名/発表者名
      砂山幸雄
    • 雑誌名

      『歴史地理教育』 717

      ページ: 36-41

  • [雑誌論文] 「政治都市」北京-経済発展・オリンピック・都市問題2007

    • 著者名/発表者名
      砂山幸雄
    • 雑誌名

      『歴史地理教育』 717

      ページ: 42-45

  • [学会発表] 当代中国のナショナリズム言説と日本2007

    • 著者名/発表者名
      砂山幸雄
    • 学会等名
      日中国交正常化35周年国際学術シンポジウム(中国社会科学院日本研究所主催)
    • 発表場所
      北京
    • 年月日
      2007-09-08

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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