ムスリム(ボスニアック)、セルビア人、クロアチア人の三主要民族間で凄惨な内戦が三年半もの間繰り広げられたボスニア・ヘルツェゴビナの紛争後復興状況を調査し、平和構築活動が民族間の分断状況を改善するきっかけになっているのかどうかを考察した。結果として、紛争終結直前から直後にかけての混乱期に行われた特定民族への援助活動が、紛争終結後十数年を経過した現在においても影響を及ぼし、ひいては同国における民族主義に基づく政治活動の延命につながっていることが確認できた。ボスニア・ヘルツェゴビナでは今もって民族間に分離独立の動きが残っており、紛争再発の芽が完全に除去されたとは言い難い状況にある。本研究の調査結果から、紛争再発防止の観点からも、紛争終結後早期における援助活動の調整と監督が、その後の復興にとって重要であることが指摘できた
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