研究課題/領域番号 |
18530121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
趙 宏偉 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (40265773)
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研究分担者 |
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
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キーワード | 新国際秩序 / 国際関係の多極化・民主化 / 胡錦涛 / 中ロ印三国協調体制 / 中ロ印三国外相会合 / 中ロ印三国首脳会議 / 上海協力機構 / ユーラシア秩序 |
研究概要 |
冷戦終結以来、かつての超大国ロシアと新興大国の中国は、唯一の超大国となったアメリカのスーパーパワーを相対化するため、「新国際秩序」、いわば「国際関係の多極化・民主化」や「国家体制の多様化」を唱えて、両国協調体制の構築とレベルアップに努めてきたが、およそ2003年、中国の胡錦涛体制が成立した直後から、中ロの二国協調体制の更なる強化、ならびに中ロ印の三国協調体制の始動が見られた。中ロは中ロ印三国の主導によるユーラシア秩序の構築を目指しているのではないかと考えられる。 2003年から、中ロ印三国外相会合が開かれるようになった。初めは非公表であったが、2003年に1回、04年に2回、05年に2回、度を重ねているうち、2005年6月の第4回会合をもって共同コミュニケを発表し、3力国外相会合メカニズムの形成を公にした。 2005年11月頃から、アメウカよりの激しい巻き返しが見られた。インド外相は辞任し、その後、2006年中、中ロ印三国外相会合の報道が見られなかった。 2006年、中ロはアメリカの動きをにらみつつ、インドへの工作を強化し、7月、ロシアでG8サミット(先進国サミット)の開催を機に、初めての中ロ印三国首脳会議を実現させた。報道によると、三国首脳は「国際関係の多極化・民主化」といった共通の価値観を確認し、そして中国の胡錦涛国家主席は、三力国の互恵的な経済協力体制の構築と三国外相会合メカニズムの活用を主張した。 2007年2月、プーチンロシア大統領はインドを訪問し、インド首脳と共同声明の中に、中ロ印三力国協調体制の構築・強化の一文を盛り込み、3月に中ロ印三国外相会合をニューデリで開催することを決めた。 3月、三国外相会合は開催された。そして、4月、中国胡錦涛国家主席は訪ロし、プーチンロシア大統領との共同声明の中で、中ロ印三力国協調体制の構築・強化を訴えた。 中ロは、共同の利害において中ロ印三力国協調体制の構築・強化に積極的に動いてきた。そして今までのプロセスを観察すると、はじめは中国の主導が強かったが、05年からロシアはより積極的にインドに働きかけ、時には消極的な姿勢を示していたインドを何とか引き込もうとしている。 07年を展望すると、2回目の中ロ印三力国首脳会議が開かれるか、そして三国外相会合が更に開かれて名実ともメカニズム化されていくのかは、注目すべき点である。そのタイミングについて、上海協力機構のサミット会議、G8サミットは要注意である。
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