研究概要 |
本研究の目的は漸進的な経済改革を「部分自由化」及び「部分民営化」をキーワードとして分析し、現実の日本及び中国などの移行国の諸改革を分析・評価する枠組みを構築することにある。 本年度はまず公企業と私企業が共存する混合市場において、公企業の存在が私企業の立地戦略にどのような影響を与えるのかを分析し、この成果を、"Mixed Oligopoly and Spatial Agglomeration in Quasi-Linear City." (Economics Bulletin, 2009)として発表した。またこれに先立ち、比較対象となり、かつ部分規制の分析としても重要な純粋市場での立地戦略に関する研究を行い、この成果を"Equilibrium Location and Economic Welfare in Delivered Pricing Oligopoly." (Economics Bulletin, 2009)として発表した。 また、参入規制、民営化政策と国際競争の関係を研究し、その成果を"Privatization and Entries of Foreign Enterprises in a Differentiated Industry." (Journal of Economics, 2009)として発表した。更に公企業の望ましい役割および、その役割がtiming gameの均衡において実現されるか否かに関する研究を行い、その論文がAustralian Economic Papersにacceptされた。この研究に先立ち、timing gameにおけるpayoff dominanceとrisk dominanceの関係を論じた論文が、"Payoff Dominance and Risk Dominance in the Observable Delay Game : A Note."というタイトルでJournal of Economicsに掲載された。 更に複数の公企業を民営化する一国全体の民営化プログラムに関する分析を行い、(1)民営化政策と競争政策の間に密接な関係があること、(2)小規模な民営化政策は失敗に終わる可能性が大きくなること、等を明らかにした論文がManchester Schoolにacceptされた。
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