研究課題
基盤研究(C)
社会の意志決定手続きは、実現可能な選択肢に関する社会構成員の選好や態度を表明させ、それらを集約するもの、と一般的には捉えることができますが、国際社会における決定手続きも同様です。本研究では、社会の決定手続きを、社会の構成員の選好プロファイルの集合から選択肢の集合への関数として、数学的に定式化し、Social Choice Functions(社会的選択関数)と呼んでいます。本年度は、マッチング・モデルにおけるSocial Choice Functionsを特に研究しました。マッチング・モデルにおいて、Strategy-Proofness(戦略的選好表明を抑止するための条件)、Pareto-efficiency(効率的に財が配分されるための条件)とIndividual Rationality(個人の自発的参加を促すための条件)を満たすSocial Choice Functionが存在しないことが、Alcalde and Barbera(1994)によって証明されています。そこでPareto-efficiencyをより弱い条件であるRespect for Unanimity(最も好ましいマッチングが社会の全ての構成員で一致する場合には、そのマッチングが選ばれるという条件)に代えたところ、Strategy-Proofness、Individual RationalityとともにRespect for Unanimityを満たすSocial Choice Functionsを発見し、それをMinimum Unanimous Ruleと名付けました。さらにRespect for UnanimityをRespect for Pairwise Unanimityに強めた場合には、Strategy-Proofness、Individual RationalityとともにRespect for Pairwise Unanimityを満たすSocial Choice Functionsは存在しないことを証明しました。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Institute of Social and Economic Research, Osaka University, Discussion Paper, December No.677