社会の意志決定手続きは、実現可能な選択肢に関する社会構成員の選好や態度を表明させ、それらを集約するもの、と一般的には捉えることができますが、国際社会における決定手続きも同様です。本研究では、社会の決定手続きを、社会の構成員の選好プロファイルの集合から選択肢の集合への関数として、数学的に定式化し、Social Choice Functions(社会的選択関数)と呼んでいます。 昨年度から、複数の財が存在し、人々がMultidimensional Single-Peakedな選好をもつ割り当てモデルにおけるSocial Choice Functionsを特に研究しています。昨年度に、Strategy-Proofness、(Pareto-efeiciencyの必要条件である)Same Sideness、SymmetryとNon-Bossinessを満たすSocial Choice Functionは、Uniform Ruleだけであること証明しました。しかし、その証明には、論理が飛躍している点や、わかりにくい点などがあり、本年度にbrush upし、論文としてしあげました。 また18年度から、マッチング・モデルにおけるSocial Choice Functionsも研究しています。昨年度までに、Minimum Unanimous Ruleと呼ぶルールが、Strategy-Proofness、 Individual RationalityとともにRespect for Unanimityを満たすことを証明し、さらにRespect for UnanimityをRespect for Pairwise Unanimityに強めた場合には、Strategy-Proofness、Individual RationalityとともにRespect for Pairwise Unanimityを満たすSocial Choice Functionsは存在しないことを証明しました。この証明にも、論理が飛躍している点や、わかりにくい点などがあり、この論文も本年度にbrush upしました。
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