研究課題
基盤研究(C)
本研究は、消費の外部性が存在する場合にマクロ経済の動態がどのような影響を受けるかを理論的に分析することを目的としている。マクロ経済学における消費の外部性とは、個別の消費者が自らの消費水準だけではなく、社会的な平均的消費の水準を考慮しつつ消費行動を決定することを意味している。このような消費者間の相互依存関係をマクロ動学分析に取り入れる試みは1990年代の初頭から盛んになってきたが、既存研究の大半は代表的家計モデルを用いている。代表的家計モデルにおいては、均衡において平均消費と個人の消費水準が一致するため、消費の外部性の導入の効果は一般に量的なものに限られ、モデルの動学的性質や定常状態の特長付けを大きく左右することはない。本研究では既存研究の大勢とは異なり、主として世代重複モデルにおける消費の外部性の効果を検討した。世代重複経済には異質な主体が存在するから、消費者間の外部効果は、同質の消費者のみが存在する代表的家計経済よりも複雑になる。特に、異なる世代間の外部効果(intergenerational externalities)は、モデルの動学的構造を大きく変える可能性があり、消費の外部性の有無が経済の動態を左右し得る。本研究では、いくつかの代替的な世代重複モデルを用いてこの推測の正しさを確認すると共に、消費の外部効果がマクロ経済の運動に対してもつ経済的な意味を様々な側面から分析した。
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Japanese Economic Review 59
ページ: 137-162
Journal of Economic Dynamics and Control (近刊)
国民経済雑誌 197
ページ: 19-34
ページ: 33-53
Kokumin Keizai Zasshi (in Japanese) Vol.197
Gendai Keizaigaku no Choryu 7 edited by Hidehiko Ichimura, et. al. Toyo Keizai Shinposha (in Japanese)
forthcoming in Journal of Economic Dynamics and Control
http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~mino/