研究概要 |
本研究は、チームにおける有効なリーダーシップの成立に、そのチームメンバー間での情報共有のあり方がどのようにかかわっているかを、実験研究によって明らかにしようとするものである。具体的には、Kobayashi and Suehiro(2005) "Emergence of Leadership in Teams", Japanese Economic reviewが研究したチーム生産ゲームを実験室実験し、この先行研究が発見したリーダーシップの発生条件の実際の妥当性を検証するものである。 第2年度である平成19年度の実験データは、異なるリーダーシップ・スタイルの均衡が存在するゲームでは、そのうちの1つのスクイルの均衡が顕著に現れることを示していた。第3年度平成20年度の研究は、検出されたこのリーダーシップ行動が、逐次均衡の理論が言うとおり起こっているのかどうかを検証する制御実験を行った。その結果、[A]リーダーシップは、確かに内生的シグナリング行動として起こっている、[B]内生的シグナリングは、被験者のチーム生産の自信に基づかなければ生じない、ということが確かめられた。さらに、[B]について、データを詳しく分析すると、検出されたリーダーシップ行動は、部分的にパレート最適性に関して被験者が抱く追加利得の影響を受けていることが判明した。こうして平成18年度から20年度の3年間で行った研究は、論文としてまとめ、平成21年8月に開催されるEconometric Society東京大会発表に投稿した。 また、実験の結果検出されたリーダーシップ・スタイルの均衡条件に関して、実験研究と並行して行っていた理論研究の成果をまとめ、平成20年7月のGame Theory Wbrld Congressと8月のEconometric Societyミラノ大会でそれぞれ発表した。
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