研究課題
基盤研究(C)
平成18年度は、オークションの偽装入札に関連する国際研究をサーベイ・調査した。次に偽装入札の可能性のある単一財のオークションについて、売手がその形式を選択することを明示的に導入したモデルの構築を行った。このとき従来の研究では、買い手の個人の財に関する価値は独立な分布に従うとしていたが、相関した分布に従ったシグナルをもち、相互依存に価値が依存するような相関価値をモデルに取り込んだ。上記のモデルに対し、売手の信念を外生的に与え、その入札戦略の均衡点(ベイジアンナッシュ均衡)の導出を行った。均衡戦略の特徴を探るために、Mathematicaなどの数学ソフトウエアを利用し、微分方程式の数値解法等を援用して均衡戦略を数値的に導出した。買い手の価値を、1つのパラメータが変化によって、価値独立を含んで相関の程度が変化する分布のクラスを定義し、そのパラメータの変化の要因によって売り手の期待価値がどの程度変化するかを示した。また同時に、この分布のクラスを用いて、買い手が推測する売り手が偽装入札をする可能性の変化により、どの程度売り手の期待価値が変化するかも調べた。この結果は、Watanabe and Yamato(2006a)として発表されている。次に、売手のオークション形式の選択が、買い手への偽装入札の推測に影響を与えるようなシグナリングの理論をモデルに取り入れ、買い手の信念を内生化したモデルを構築した。このモデルの均衡戦略を解析的に導出し、出現した複数の均衡点を、ナッシュ均衡の精緻化の理論を用いて絞り込んだ。価値相関を取り入れた結果として、偽装入札をしない売り手はファーストプライスオークションのみを選択されるという従来の結果とは異なり、売り手が偽装入札をする事前確率が低い場合は、偽装入札をしない売り手もセカンドプライスオークションを選択するという結果が得られた。
すべて 2007 2006
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経済研究 (印刷中)
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