研究概要 |
(1)東アジア地域経済統合 2006年度には、中国がインドと並んで世界経済に台頭し、日本を含む近隣諸国に大きなインパクトを与えたといえる。2006年11月の南開大学日本研究院主催国際学術シンポジウム「東アジア地域統合の進展及び地域協力」(天津)では、「東アジア共同体の形成とグローバル組織・フォーラムの活用-エネルギー協力を軸に-」と題し、2007年7月の国際アジア共同体学会と中国社会科学院日本研究所共催の北京会議「東アジア共同体の共通制度を創る」では、「東アジアでのエネルギー安全保障を考える」と題して、日本での共通認識を発表するように努めた。議論を通じて、エネルギー安全保障面では省エネ協力(環境対策にもつながりうる)に期待が寄せられることを確認した。 (2)日本の国際経済学史 国際経済学者の赤松要氏(1896-1974)について調査・研究を進めた。2006年12月に高弟の小島清氏に、2007年2月に佐藤隆三氏(中山伊知郎氏の弟子、赤松氏が一橋大学経済学部長をしていた時に学部生として在学)にインタビューし、関連資料も提供していただいた。2008年2月に評伝として刊行することができた。ドイツの哲学と経済学の潮流を学んだ赤松氏と、英語圏の経済学者とのつながりの強い根岸隆氏の国際経済学についての比較する研究を進め、英文草稿としてまとめた。また、西沢保氏との共同で_New Palgrave:A Dictionary of Economics_用エントリー'Japan,Economic in'を執筆し、国際経済学、新古典派経済学、一般均衡論などのパートを担当した。中山伊知郎氏の弟子の一人である堀田一郎氏提供していただいた国際経済協会(International Economic Association)蒲郡円卓会議(1960年、テーマ「東アジアに重点をおいた経済発展」)に関する重要資料は、次年度以降の研究で利用する予定である。
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