研究概要 |
本年度の研究実績は2つあり,1つはノンパラメトリック推定,もう一つはノンパラメトリック検定である。 ノンパラメトリック推定として,株価,為替レート,金利の3つの日次データ(1997年1月1日以降)を用いて,Volatlityの変動要因・相互依存関係等を実証分析を通して解明した。過去の様々な研究において,株価のVolatilityを説明するものとして,非対称性(Asymmetry effect,すなわち,株価が下落した次の日には株価変動が大きくなる),休日効果(Holiday effect,すなわち,休日明けには株価変動が大きくなる),曜日効果(Day-of-the-week effect,すなわち,株価変動の大小は曜日に依存する)等が考えられてきた。さらに,株価のVolatilityのスピルオーバー効果が国際間(例えば,日英米間)で観測されるかどうか,または,株価の値自体ではどうかなどの研究も数多くなされている。為替レートや金利に関しても同様の実証研究が数多く行われている。本研究では,(i)株価・為替・金利のVolatilityの変動要因を調べ,(ii)株価・為替・金利のVolatilityの相互依存関係を調べ,(iii)関数形を特定化せずに分析を行った。(i)-(iii)を同時に含めたとしても,過去の個々の研究との整合性をすべて実証出来た。 ノンパラメトリック検定としては,経験尤度の(Empirical likelihood)の設定の下で,Cressie-Read power divergence testの検出力とサイズをモンテ・カルロ実験を通して検討した。結果として,ブートストラップを利用したCressie-Read power divergence testが有用であるという結果が得られた。
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