研究概要 |
前半部分では、プラザ合意以前の1980年から2000年における我が国製造業の地理的集中度を、日本標準産業分類4桁(細分類)のデータを用いて、エリソン=グレイサーの集積指数によって計測すると共に、異業種の集積を示す共集積指数を計測した。さらに、日本標準産業分類4桁の生産量、従業員、民間資本ストック、原材料を含む中間財、各種デフレーター等のマクロ・データ・ベースを作成し、Kim(1992)のフレキシブルなトランスログ生産関数とコストシェア式を同時に、Zellnerの「見かけ上無相関な回帰」(SUR)で推定し、製造業全体や食品産業で、「集積の経済」の外部性が存在することを明らかにした。この分析を踏まえて、後半部分では、都道府県別のパネル・データを用いて、「集積の経済」の外部性を実証した。平成18年度に計測した日本標準産業分類2・3桁の集積と共集積指数の計測値を改定するとともに、日本標準産業分類2・3桁の生産量、従業員、民間資本ストック、原材料を含む中間財、各種デフレーター等の都道府県別のパネル・データを用いて、生産関数のパネル・データ分析を行い、電気電子産業・輸送機械産業および食品産業において、「集積の経済」が存在することを明らかにした。これらの実証研究の結果から,政策的含意として,左範囲の業種で、産業集積による「弱い正の外部効果」が見られ、これをを享受し続けるためには総合的なスピルカーバー効果を持続させることが重要であり,企業間のネットワークの形成,地域資源の有効利用を図っていくことが求められる.
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