研究概要 |
以下の二つの分野で研究を行った。 1. 研究開発に参加する企業数が増大することの一つの帰結は、企業間の研究開発の成果の相互利用が進まないと、研究開発の成果の商業化はより困難となることである(「特許の藪」問題)。特許の藪がどの程度研究開発や特許取得の収益性を阻害しているかを、日本企業の保有している特許ポートフォリオの構造と企業の収益性の関係に着目することで、実証的に分析する研究を引き続き行った。研究成果は、一橋大学で開催された国際応用経済学会の国際コンフェレンス(Patent & Innovation, Econometric Studies,Tokyo, December 19-20, 2008)において報告した。 2. 研究開発は往々にして累積的であり、先行企業の発明をベースに次の研究開発が行われる場合も多いが、これを円滑化するために、日本と欧米では特許法に試験研究例外の規定がある。本理論研究ではその効果を、研究開発の累積過程が、パイオニアとフォロワーの関係にある場合と、恒久的なイノベーション競争モデルが当てはまる場合とにおいて、引き続き分析を行った。研究成果は、上記学会で報告するとともに、海外の学術雑誌に投稿した。 3. 標準を巡る競争と協調についての実証研究論文を、コンフェレンス・ボリュームに掲載されるように、改訂した。
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