研究概要 |
直接投資による技術移転が行われる場合に,地底所有権の強化がどのような影響を先進国の研究開発と技術移転にどのような影響を与えるかについて分析した論文"A Welfare Analys is of Global Patent Protection in a Model of Endogenous Innovation and Foreign Direct Investment"を完成させた.この研究が既存の研究と決定的に異なるのは動学的な分析も考慮に入れて厚生分析を行っている点である.この研究により一定の条件の下ではあるが,発展途上国における知的所有権の強化は発展途上国と先進国の厚生を同時に上昇させることを示した.成長モデルでは動学分析が不可欠であるが,既存研究でこれを試みた研究は非常に数少ない.定常状態が不安定にもかかわらず比較静学分析を行っている研究も存在する.したがって,この点でも本研究は意義深いといえる.本研究は研究分担者の祝迫が大阪大学での「組織と制度の研究会」において研究方向を行った(使用言語は英語). また,研究代表者の二神はこの基盤研究の成果を要約して研究者以外の一般読者向けに日本経済新聞の経済教室に解説コラムを書いた.このコラムではライセンシングおよび直接投資による技術移転が行われるときには発展途上国での知的所有権の保護強化は研究開発や技術移転を促進させることを平易に説明し,知的所有権の保護強化の必要性を説明した.
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