研究概要 |
1.協力・非協力混成型ゲームモデルの展開に関わる研究の-環として,ソーシャル・シチュエーション理論の枠組みにおいて「個別条件付き威嚇状況(Individual Contingent Threats Situation)」と呼ばれる多数プレイヤーの交渉ゲームモデルについての分析行った。個別条件付き威嚇状況は,プレイヤー間のコミュニケーションは可能であるものの拘束的契約の締結は不可能であるような状況を数理的に表現したものである。多数のプレイヤーのうち,ある一人のプレイヤーの反応関数が他のプレイヤーの戦略変数に関して単調であるとき,その反応関数のグラフがフォン・ノイマン=モルゲンシュテルン安定集合となることを論証した。(研究成果[雑誌論文]中西2007参照。) 2.漁業交渉・条約のネットワーク的側面に関する研究の一環として,コミュニケーションネットワークの有する,いわゆる「ネットワーク外部性」が貿易に関する比較優位構造に及ぼす影響について2国・3部門モデルを用いて分析した。(研究成果[雑誌論文]菊地2007参照。) 3.1遠洋漁業国・2資源保有沿岸国からなる漁業交渉モデルを構築して,個別並行交渉,2段階交渉,および一括交渉という3つの異なる交渉シナリオのそれぞれが,各沿岸国の排他的経済水域内での漁獲高,遠洋漁業国から沿岸国へ支払われる入漁料率,各国の経済厚生等に対していかなる影響を及ぼすのかについて検討を行った。資源保有沿岸国の漁業資源賦存状況の差異に応じて,各交渉シナリオの持つ厚生的な意義(各国がどのような交渉シナリオを選好するのか)が大きく異なってくることが明らかになりつつある。(検討継続中:論文未公刊。)
|