研究概要 |
近年,国際経済・社会上の重要課題として,資源・環境問題に対する関心が高くなっているが,その焦点は,特に環境汚染問題とその対応に当てられている。しかし,アジェンダ21に目標として記されているように,漁業・水産資源等の天然資源保護もまた資源・環境の持続的利用のための重要な課題である。漁業・水産資源は海という多くの国と接する領域に存在することから,特定国による全体的管理が不可能あるいは困難であり,しかも個別国による資源利用の様相が他国の利害に影響を及ぼす「外部性」という特徴を持つ点で大気汚染等の問題と共通した性質を有している。実際,各国個別の管理では資源の世界的有効利用のためには不十分であるとの認識から,資源を保護し,長期的に利用することを目的として,国連海洋法条約改正や各種の国連決議等がなされ,海洋資源に関する制度的枠組や国際ル-ルが形成されてきた。わが国は消費・生産両面において世界でも有数の漁業国であり,漁業資源利用に関する国際的制度・ル-ル形成により大きな影響を受ける。この点を鑑みるとき,現存する制度・ル-ルのワ-キングを解明することのみならず,効率性・公平性の観点から望ましい制度・ル-ルとは何か,そうした制度・ル-ルは設計・実施可能か否か,制度・ル-ルに対する各国の参加誘因は存在するか,そして参加誘因構造は安定的か,などを解明していくことは極めて重要な作業である。 漁業・水産資源は海という多くの国と接する領域に存在することから,特定国による全体的管理が不可能あるいは困難であり,しかも個別国による資源利用の様相が他国の利害に影響を及ぼす「外部性」という特徴を持つ点で大気汚染等の問題と共通した性質を有している。実際,各国個別の管理では資源の世界的有効利用のためには不十分であるとの認識から,資源を保護し,長期的に利用することを目的として,国連海洋法条約改正や各種の国連決議等がなされ,海洋資源に関する制度的枠組や国際ル-ルが形成されてきた。わが国は消費・生産両面において世界でも有数の漁業国であり,漁業資源利用に関する国際的制度・ル-ル形成により大きな影響を受ける。この点を鑑みるとき,現存する制度・ル-ルのワ-キングを解明することのみならず,効率性・公平性の観点から望ましい制度・ル-ルとは何か,そうした制度・ル-ルは設計・実施可能か否か,制度・ル-ルに対する各国の参加誘因は存在するか,そして参加誘因構造は安定的か,などを解明していくことは極めて重要な作業である。 本研究の目的は,漁業・海洋資源利用についての制度・ル-ル策定に関する複数国による交渉状況を適切に表現できるモデルを構築し,そのモデルを用いて望ましい制度・ル-ルの諸性質(設計・実施可能性,参加誘因と安定性等)を解明することである。
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