本年度は、文献収集とサーベイを論文の草稿となるまでに進め、学校・若者、さらに県庁など公共機関への聞き取り調査を引き続き進めていき、さらに地域の高校での模擬授業などを通じて、その広がりを増していった。 今年度は高校における講義を秋に2回ほど催したが、この科研費研究のテーマ(地域における若年雇用問題とキャリア形成)でもある「フリーター問題とキャリア形成」というタイトルで講演を行ない、生徒や高校の先生方との交流を深められた。次の調査への足掛かりとしたいと考えている。また防府市において、18年度に引き続き勤労青少年ホーム関連の講話を行なったが、その過程で高度経済成長期に遡って青少年の資料と動向を調べることができた。今後、業績に結実させていく予定である。 調査としては、昨年度に引き続き3月にヨーロッパへ赴き、現地における資料収集と聞き取り調査を行なった。一例として、フランスにおいては青少年情報・文献資料センター(CIDJ)という日本のジョブ・カフェに酷似した施設を訪問した。内部のレイアウトからPR誌まで似ており、日仏相互の僕連と相違をさらに追究していきたい。イタリアにおいては、日本以上に家族主義的で、学校を卒業しても親元に居座り続けるという文化的伝統を垣間見てきた。まだまだ知り得たことはあるが、これらの国際比較による経験と知識を地域研究に逆照射し、将来的により実りのある成果に結び付けていく所存である。
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