研究課題
基盤研究(C)
本年度は予定した研究対象分野のひとつである日本の自動車産業で実証的研究を実施し、成果を挙げることにつながった。日本の大手自動車製造企業2社を対象とし、それぞれの研究開発・製品開発部門と生産技術部門に対して、聞き取り調査を実施し、以下のような知見を得た。(1)人材形成に関して。日本の自動車企業では、開発や生産技術部門といえども、人材形成(技術訓練、技術教育)は企業内で完結する性格が強く、そうした部門に働くエンジニアといえども、その技能・技術内容は企業横断的な性格は希薄であること、したがって同部門の労働市場も産業横断的な性格は希薄であることが明らかになった。(2)人事管理に関して。一般に、研究開発部門の人事管理は、プロジェクト型であり、製品系列(開発車種)にそって組織が置かれ、管理もその組織に沿って行われるとされてきた。実証の結果、そのイメージはかなり修正を要することがわかった。自動車開発でいえば、製品設計は製品部位(ボディー、エンジンなど)ごと、試作品製作と同検査(品質確保)、製造設備の開発と維持といったように、技術の系列に沿った組織が置かれ、人事管理や人材育成の軸はそのような技術系列に沿った組織に置かれていることがわかった。(3)労使関係に関して。労使関係の最大の問題は労働時間問題であることがはっきりした。総じて開発部門は労働時間が長いことは通説どおりであったが、個人間での労働時間の負荷の差が大きく、それをどのように短縮し、負荷のでこぼこを少なくしてゆくかが労使の最大の懸案である。その点に関しては、労使協議制度を丁寧に実施している企業・職場であるほど問題の発現の程度が軽微であることが明らかになった。
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Conference Papers of The Japan-Korea-China Join Symposium on Labor Migration, Technology Transfer and Economic Development in Asia
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