研究課題
2007年度は、医療用医薬品の消費者への直接広告(direct-to-consumer advertising:以下DTC広告)が人々の生活習慣に及ぼす影響に関し研究を行った。DTC広告に関するこれまでの研究は、DTC広告が処方薬の需要にどのような影響を及ぼすかに集中してきた。しかしながら一方で、DTC広告が新薬の存在を消費者に伝えるのであれば、この新たな情報に基づき、消費者が自らの行動様式・生活習慣を合理的に変更する可能性がある。本研究では、生活習慣病(高コレステロール、糖尿病、高血圧、等)に関するDTC広告が、人々の運動習慣に及ぼす影響の分析を行った。具体的には、米国のMSA(Metropolitan Statistical Area)別のDTC広告のデーター(1997-2001)と、個人の運動習慣に関するデーター(National Health Insurance Survey 1997-2001)を用い、DTC広告の影響を定量的に分析した。推定結果から、糖尿病、高コレステロール、肥満、高血圧に関連するDTC広告が、中程度(moderate)の運動回数を減少させる効果が認められた。これらの結果は、DTC広告が短期的な医薬品の需要に影響するにとどまらず、人々の生活習慣に影響を及ぼすことでより長期的な影響を持つ可能性を示唆しており、DTC広告が広く国民の健康に及ぼす影響について更に広範な検討・議論が必要となろう。
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Vol. Communication Games, in the series of Advancesin Applied Microeconomics, Elsevier Publications 近刊