研究概要 |
補完製品を供給する企業間の合併・独立および混合バンドリング政策の内生的決定と、経済厚生に及ぼす効果に関する研究としては、これまで研究分担者とともにMaruyama, M. and K.Minamikawa[2005],"Vertical Integration, Bundling and Welfare,"として論文に取りまとめ、2005年EARIEの国際学会において本研究分担者による研究報告を行ってきた。この論文を発展させるかたちで今年度は、補完製品市場に対する合併規制、分離規制およびバンドリング規制といった規制政策が補完製品企業間の競争構造および経済厚生に及ぼす影響についての理論的検討に着手した。Maruyama, M. and K.Minamikawa[2005]で想定した市場構造および価格政策である、統合バンドリング、統合コンポーネントプライシング、分離コンポーネントプライシング、の3つに加え、新たに分離バンドリングを追加することでさらに一般化を行い,市場構造(価格政策)および価格を戦略とする多段階ゲーム理論により、取引構造の内生的決定に関するモデル分析を実施した。このような一般的な設定においても統合バンドリングがゲームにおける唯一のNash均衡となることを明らかにした。さらに,経済厚生を改善するうえで合併規制およびバンドリング規制が有効でありうるための条件を理論的に明らかにした。すなわち,消費者余剰を基準とする場合には,ブランド間競争の程度が小さいときという条件のもとでは合併規制が有効であり,総余剰を基準とする場合には,あらゆる条件のもとでつねに合併規制が有効であって,規制が総余剰を改善しうることを明らかにした。以上の内容をMaruyama, M. and K.Minamikawa[2007],"The Incentives and Regulation for Integration and Commodity Bundling of Complementary Goods"(未発表論文)に取りまとめた。
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