研究概要 |
当初の計画に従い,補完製品市場における,相互に補完的な製品を販売する企業間の合併へのインセンティブ,および混合バンドリングへの規制の効果に関する理論的分析を,“Vertical Integration, Bundled Discount and Welfare"にまとめた。代替的なシステム製品を販売する企業間の複占価格競争のゲームにおいては合併かつ混合バンドリングを行うことが支配戦略均衡となるが,これは必ずしも消費者および企業にとって望ましいものではなく,一定の条件のもとでは混合バンドリングを規制することが消費者および企業の経済厚生を高めることになることを明らかにした。さらに,分析結果についての,日本のブロードバンド業界におけるインプリケーションを示した。 また,こうした合併が製品価格,品質水準の決定,および企業利潤,消費者余剰に与える効果を理論的に明らかにした。より一般化した設定での分析を“On the Desirability of Merger among Complements"にまとめた。 さらに,日本の家庭用テレビゲーム市場に焦点をあてて,ゲームソフト開発メーカーが新規ゲームソフトタイトルをリリースしようとする際に,当該ソフトの提供先として代替的な複数機種のゲーム機(プラットホーム)のなかからある特定のゲーム機種を選択する意思決定行動について検討し,その規定因を実証的に明らかにした。これを「家庭用テレビゲームソフトのプラットホーム選択行動の分析」としてまとめた。この分析を混合ロジットモデルを用いるかたちで発展させ“Network Structure of Video Game Software in Japan: Some Empirical Results"として英文にまとめ,国際学会において報告をおこなった。
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