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2008 年度 実績報告書

医療福祉領域の雇用創出と労働力の専門職化に関する英仏2カ国比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18530199
研究機関静岡大学

研究代表者

三富 紀敬  静岡大学, 人文学部, 教授 (80135227)

キーワード福祉 / 専門職化 / ケアワーク / ケア基準 / 職業資格 / 労働条件
研究概要

まず、労働力の専門職化の背景をなす労働力の規模と労働諸条件に関わって、特に労働力の就業者中の比率について英仏両国を含む9カ国を対象に独自の推計を踏まえて明らかにした。これに従えばケアワーカーは4.1-5.7%(イギリス)、5.1-8%(フランス)を占める。これは、福祉国家の類型を異にする南欧の2.4%(スペイン)や東欧の3%(ハンガリー)より高いとはいえ、北欧の10%(デンマーク)や9-13.5%(スウエーデン)よりも低い。また、イギリスは3.0-3.3%(アメリカ)や4.5%(カナダ)よりもやや高いと共に、フランスは7-7.6%(オランダ)と重なり合う。移動率が高く、高齢化などに伴うニーズの引き続く上昇と相俟って労働力の慢性的な不足状況にあることは、特徴のひとつである。
労働力の専門職化は北欧諸国において最初に切り開かれ、初発の経験としてデンマークの1960年代以降の取組みがある。英仏両国の取組みは、ヨーロッパ連合のリスボン宣言(2000年)や同じく『社会的保護と社会的包摂戦略』(計画期間2008-2010年)等におけるサービスの質の向上に関する指摘とも相俟って、ケア基準に関する2000年法と2級以上の職業資格取得者の増加(60%、2004年)、あるいは、社会生活助手国家資格証明(DEAVS)の新たな制度化と職業資格を持つ労働者の基本賃金の引き上げ(2002年、フランス)などの動向を確かめることができる。これらが、ケア水準の引き上げに連動することは、言うまでもない。
ケア水準の引き上げとその条件としての労働力の定着化と教育訓練の引き上げは、日本の課題でもあり、英仏両国における政策経験から学び取ることは少なくない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 欧米におけるケアワーカーの動向と政策上の教訓2009

    • 著者名/発表者名
      三富紀敬
    • 雑誌名

      総合社会福祉研究 34号

      ページ: 20-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 介護施設の対人援助労働者の受ける暴力に関する国際比較2008

    • 著者名/発表者名
      三富 紀敬
    • 雑誌名

      静岡大学『経済研究』 13巻2号

      ページ: 121-132

  • [学会発表] 介護者の確保育成策-国際比較の視点から-2008

    • 著者名/発表者名
      三富紀敬
    • 学会等名
      社会政策学会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-10-11
  • [図書] イギリスのコミュニテイケアと介護者-介護者支援の国際的展開-2008

    • 著者名/発表者名
      三富紀敬
    • 総ページ数
      1-418
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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