本研究の成果は、新たな国際地域経済協力体制の方向性を、欧州地域、フランス国内産業政策における事例ならびに日本・名古屋圏地域に基づき整理した点、および連携構築の基盤となる要素について企業戦略論にそって提起した点である。 すなわち地域協力体制について、地域の産業技術の地理的ならびに歴史的な「蓄積」を基盤に、それを企業が展開するグローバルな供給・製造のネットワークとの連携を促進させる経済協力体制として提起した点である。さらに顧客としてのグローバル企業の生産活動上の要求事項を基盤にした、開発と原価のコンカレント戦略にそって構築されることを提起する点である。 従来の国際地域体制論は、地域自由市場圏の構築やそこでの域内競争力の育成や、グローバル・ニッチ技術の育成など、ともすれば市場競争に産業活性化の活路を求めてきた。 これに対して、本研究では、分業圏構築については、地域内や地域間での国際連携を超えて、グローバルな規模での生産体系との連携を前提にしている。さらに地域内の個別集積地企業のグローバル連携力育成にむけた、地域中小企業間国際ネットワーク化や連携化支援を目的とした、地域経済協力体制について、EU・フランスの試みを紹介するともに、日本・名古屋圏地域自動車部品関連加工企業のグローバル戦略事例から、生産者=顧客企業の生産管理過程との連携に基づく、新たな戦略を提起した。
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