研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近年活発に展開されているM&A行動や戦略的提携行動を企業間コーディネーションの代替的手段ととらえ、これら手段間の相互依存関係がどのように規定されているかを理論的・実証的に分析した上で、これらの相互依存関係が経済社会に与える効果を経済学的・法学的視点から検証することを目的としている。この研究目的を遂行するために、今年度の研究においては1990年代後半以降顕著に見られたM&A並びに戦略的提携行動を検証し、その無視し得ない部分が垂直的な関係を意識しながら行われていることが明らかとなってきた。このファクト・ファインディングをベースにして、研究代表者田中は、経済理論の立場から近年多くの研究が行われている垂直関係下における企業のコーディネーション行動の理論分析を展望・発展させ、M&Aや戦略的提携行動が垂直的関係下で生じうる「拮抗力(countervailing power)」と上流・下流市場における市場競争の態様に大きく依存する可能性があることを明らかにした。一方、研究分担者林は、垂直関係を意識したM&A行動や戦略的提携行動が盛んなコンテンツ並びに情報通信分野に焦点を当て、不当差別禁止や利用者保護の観点から企業間コーディネーション行動の含意を探り、プラットフォーム規制のあり方が経済社会の成果に大きな影響を及ぼすことを示した。こうした研究をさらに深化させながら、本研究課題の最終年度では「対抗力」概念を軸として経済学・法学の有機的連携をベースにして研究目的を遂行していく予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
Kobe City University of Foreign Studies, Working Paper No.23
ページ: 1-14
情報通信ジャーナル((財)電気通信振興会) 7月号(未定)