研究概要 |
年間を通じての成果 第1初年度は文献による研究を主体とし、日本、欧州の学会に参加し発表と討議を通じて対象国であるブルガリアを始め中東欧の移行経済諸国へのヨーロッパの資本・技術に依る進出状況を把握した。 第2研究の進捗に伴い、移行経済国のEU参加の過程という観点を強く意識し、開発経済学の重要な課題として格差のある諸国が経済統合によって先進国グループに包括されていく課程を検討した。 第3輸出入を始め企業体そのものの総合的な移転の経過を辿る。受け入れ国側は脆弱な経済・社会構造のため支配・被支配の関係も発生するが同時に国際間の分業の効率的な展開も看取できた。 これらは現地での各関係機関との討議、実情調査を継続により把握できた。以下要点として: 第1に、外国直接投資(FDI)につき国連UNCTADを訪れ(07/9/11-9/16),世界的なFDIの動向、先進国側の方針とくに多国籍企業に関する投資国と受入国双方の対応の変遷などの課題に関し学んだ。また自分の調査実績に基ずく相互の意見交換によって大いに益するところがあった。 第2に、対象国ブルガリアでのEU加盟後の変貌、最近時の経済・社会実情を調査、特にFDIの流入の実績と展望をchamber of commerceほか関係する諸機関から聴取した。加盟直後と10カ月目ででは関係諸機関が慎重論に転向した。西側資本の強大さがFDIの流入により実感されたと言える。 第3に、EUへの同時加盟を果たしたルーマニアへのFDIの実情、工業全体の発展経路などを両国間を比較対比することにより、優劣の視点ではなく相違点を把握した。 第4に、将来展望としてブルガリアはまだ社会的改革、政治的改革など課題を残しているので、高い成長を続けうるか否か不明、今後も多大の努力が要求される。ルーマニアは金融制度の整備、政治的安定などを図りFDIの流入に一段と努力が必要である。
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