研究概要 |
平成18年度は既存研究のサーベイ、理論的背景を考察し,現地調査に基づき,タイ、マレーシア、インドネシアのデータの入手とデータの内容を分析した。 タイの5年分の工業サーベイ(1996,1998,1999,2000,2002年)と3年分の産業連関表のデータ(1995,1998,2000年)の整理・分析を完了し,第1稿を作成した。タイのデータを用いた初期段階の分析では,国内財だけではなく輸入財を使用している企業(工場)の方が全要素生産性が統計的に有意に高い,という結果が得られた。これはこれまでの諸理論の予想と一致する。さらに輸入財のうち,特に機械輸入が重要であることも判明した。また,外資系企業は地場企業よりも統計的に高い生産性を有しているものの,その程度は投資をしている国によって差があることも明らかになった。日本や韓国,米国,ヨーロッパ諸国の外資系企業では生産性が地場企業よりも高いものの,中国系企業の生産性は地場企業と統計的に有意な差が認められなかった。他にも輸出入を同時に行う企業の生産性は輸入のみ,あるいは輸出のみの企業よりも生産性が高いことが明らかになった。この成果を2006年11月20日に北京で開かれた東アジア経済学会(EAEA)において発表した。 平成18年度は同時にインドネシアとマレーシアのデータの収集・整理を行った。インドネシアの工業センサスは8年分(1997年〜2004年)と産業連関表(2000年)を整理した。マレーシアのデータに関してはマレーシア政府のNational Productivity Corporationにおいてマレーシア政府のtechnical expertとして現在共同研究を行っている。 (713字)
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