研究課題
基盤研究(C)
失われた10年」の日本経済において不良債権問題の先送りが結果的に回復を遅らせたとする主張は、今日では幅広く受け入れられている。複合的な要因が不況を長期化させた日本経済では、不良債権処理を大きく遅らせてしまった原因は多岐にわたる。しかし、最近の研究では、いわゆる「ソフト・バジェット問題」によって、金融機関が経営再建の見込みが乏しい先に貸出を継続または拡大する「追い貸し」の存在が、その主要な原因として指摘されている。「追い貸し」の存在が非効率な企業を延命させ、日本経済全体の効率性を低下させていたとすれば、その存在や原因を実証的に探求することは「失われた10年」の原因を考える上で重要である。本研究では、このような問題意識から、デフレ下の日本経済において中堅企業に対して「追い貸し」が観察されたかどうかを、非上場企業の中堅・中小企業の財務データやその取引先銀行の情報を使って考察した。中堅・中小企業向け金融では、「貸し渋り」や「貸し剥し」と呼ばれるクレジット・クランチが幅広く観察されてきた。しかし、その一方で、中堅・中小企業向けであっても、経営再建の見込みが乏しい先に貸出を継続または拡大する「追い貸し」が行われていた可能性は先見的には否定できない。本研究では、非上場企業の中堅・中小企業の設備投資関数、貸出関数、倒産確率などさまざまなパフォーマンスめ指標を、個別企業の財務データを時価評価するだけでなく、その取引先銀行や取引先企業に注目することによって多角的に推計した。そして、「貸し渋り」と「追い貸し」のどちらが非上場企業のレベルでは支配的で、それら資源配分の非効率を解決するにはどのような政策的処方箋が必要であったのかを考察した。
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