• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

グローバリゼーション下の日米税制比較分析

研究課題

研究課題/領域番号 18530238
研究機関長崎大学

研究代表者

赤石 孝次  長崎大学, 経済学部, 准教授 (20192875)

キーワード基幹税 / 合理的選択新制度論 / 歴史的選択新制度論 / 財政社会学 / 制度 / 所得税の給与所得税化 / 相互補完システム / 減税の制度化
研究概要

今年度は、日米が基幹税の再構築に失敗したという前年度に明らかにした分析結果の原因を財政社会学の観点から抽出するために、内外の先行研究の検討に加え、Steinmo教授との議論を通して理論の精緻化を図るとともに、幅広い意見を吸収するために第64回日本財政学会で報告を行った。そこでは、具体的に以下の諸点が明らかにされた。第1に、制度の形成過程における特徴を考慮に入れた場合、制度による経済合理性の方向付けという点には、権力視角と合理性視角との接点から制度形成のプロセスを考察する視点が必要であること。第2に、合理的選択新制度論と歴史的選択新制度論は、双方が過程論を精緻化していく中で、Schumpeterの財政社会学の枠組みの中に接点を見出していること。第3に、労使和解体制と産業構造の高度化を安定させるために必要不可欠であった高度経済成長とそれによる所得の伸びを、現実のものとして認識させ、日本の相互補完システムを完結させるためには、毎年の減税の制度化が必要であったこと。第4に、戦後、所得税が給与所得税化していく中で、同税は給与所得者からの支持を調達するために絶えざる減税の実施を宿命づけられ、個人所得の伸びを背景に大幅な自然増収を生み出す一方で、そうした減税政策は「税制改正といえば所得税減税」という意識を国民の間に醸成させてきたこと。第5に、第3と第4の点は増税なき財政再建路線の中で、所得控除の増殖を促し、グローバリゼーションと高齢化の進行の中で、所得税制を溶解させる要因として作用していること。本研究は、中間層の育成をその中心的な目的としてきた戦後税制をグローバリゼーションと高齢化の進行の中で再構築していく過程で、日本だけがそれらの階層に依拠した税制の構築に失敗した理由を精緻化された財政社会学の手法を用いて分析した点で理論的かつ政策論的意義をもつものと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 所得税改革の財政社会学2007

    • 著者名/発表者名
      赤石 孝次
    • 雑誌名

      第64回日本財政学会大会報告要旨

      ページ: 13-16

  • [学会発表] 所得税改革の財政社会学-日本では、なぜ基幹税の再構築に失敗したのか2007

    • 著者名/発表者名
      赤石 孝次
    • 学会等名
      第64回日本財政学会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2007-10-27

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi