再建会社データ(ただし会社更生法)のデータベースを2006年末分まで作成した。また、再上場の事例を確認し、株価だけでなく、関連する財務データのデータベース作成の作業を行った。再上場に関しては、さまざまな詳細データで補完している。方法論的にはHotchkiss(1995)を基本的な先行研究として研究を進めてきたが、上場規則などの制度環境の違いから、わが国特有の視点からの分析の可能性が見出された。倒産し、投資ファンド等のスポンサーによって再建手続きに入った企業のうち、実際に再上場された企業数は8社である。したがって、大多数は、2次売却、継続保有、清算ということになる。要するに、投資ファンド等のスポンサーのエグジット(投資回収)の形態として、再上場は非常に限定的であることが確認された。 これら昨年度の研究成果から、以下のような具体的な検討課題が導き出された。 (1)再上場した更生会社の更生計画の条件は、他の更生会社に比べて有利なものであったか? (2)再上場した更生会社の株価の変動は、株式市場一般の変動と異なるか? (3)更生会社のスポンサーが再上場させた理由は何か? (4)更生会社のスポンサーが再上場させず、子会社した理由は何か? (5)再上場した更生会社の公開価格は、他の新規公開会社の公開価格と異なる特徴があるか? これらの分析を通し、エグジット手段としての再上場の問題点、上場規則のあり方についての検討を行う。
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