研究課題
(1)昨年度と同様に、ROSCAおよびグループ貸付という、不完備な市場や不完全な情報で特徴づけられる経済における金融制度、とそこでの資金配分の効率性と制度の継続性について考察してきた。これらのインフォーマルな金融制度は途上国経済においてしばしばみられるものである。なかでもROSCAのsustainablityは、新古典派的な合理的個人からなる経済においては成立しない可能性が強く、そのためには、メンバー間のネットワークと相互信頼のような一種の社会資本の形成が重要であることを指摘した。これについては、香港城市大学とのジョイント・コンファレンスで発表を行った。グループ貸付に関する考察においては、Stiglitzモデルを再検討することによって、その経済的意味を考察し、かつ連帯保証制度が貸付額や借り手の効用水準に及ぼす影響を分析した。これはCOE-GLOPEのDISCUSSION PAPERとしてまとめた。(2)本研究プロジェクトでは、狭い意味での経済学だけでは解明できない問題を考察するために政治経済学的アプローチを求めているが、「テロリズムの経済学」に関する書物を翻訳することによって、そうした問題を考察することができた。(3)最後に、制度という視点から経済学の教科書を監修するという作業を始めた。
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早稲田21COE-GLOPE Discussion Paper, No.33