本研究は九州地区における地銀の中小企業向け審査・貸付業務の実態把握と、中小零細企業向けの無担保・無保証条件での貸出業務を核とするビジネスモデルにて2005年春より営業を開始した「新銀行東京」の収益・戦略分析を行なうことを目的としている。今年度の主たる研究実績は下記のとおりである。 1.「新銀行東京」の財務収益分析およびヒアリングを通じた中小零細企業向け融資戦略分析を前年度より継続して行った。同銀行のドメインやスプレッド(利鞘・バンクレント)の設定の仕方など、執行役員を含む同銀行のスタッフからのヒアリングを含めた情報を得た。また、東京を基盤とする東京スター銀行の財務データとの比較を行ない、ローンポートフォリオ戦略の違いを分析した。前年度、「Studies on a"New Bank"with the phmary service being unsecured loans to Japanese SMEs」というタイトルで立命館アジア太平洋研究センター紀要論文として発表した論文の内容を一部、今年度は政策情報学会誌に投稿し、査読付論文として発表した。 2.九州地区におけるヒアリングについては、福岡銀行と大分銀行を中心として、第一地銀における中小企業向け貸出動向、融資戦略について調査を継続した。特に、福岡銀行におけるクイックローン(スコアリング型融資)の取組、残高の積み上げに関するデータを、ヒアリングを通じて収集した。及び大分銀行における内部格付・審査システムの内容についてのデータ・情報をヒアリングを通じ収集した。 3.研究の最終年度にあたり、研究成果報告書の取りまとめに着手した。
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