本年度は以下の研究と作業を行った。 1.研究史を振り返り、論点を整理した。これについては、先行研究をレビューし、特に明治漁業法の、近世との連続と断絶についての研究史を振り返った。 2.三沢市が所有する行政文書を閲覧するとともに、文書の解読作業を行った。この作業については、現地での文書のカメラ撮影と映像化および印刷を行ったのち、文書の解読及び集計作業を実施した。こうした作業には、青森在住の研究者に補助作業を依頼した。また、昨年から引き続いて、『青森県報』記事により、漁業権の認定や移動の実態を解明した。 3.研究の取りまとめ作業を行った。こうした作業により、明治漁業法は江戸時代以来の慣行を引き継ぎながらも、それは地先の漁業権に限定され、特に商業的に営業されていた定置漁業権については先願主義が実施され、また、商業や加工業の営業を行っている人物が多く、定置漁業権を得ていることが明らかになった。こうした研究結果は部分的に学会で報告され、また冊子として公表されたが、今後さらに公表していくつもりである。
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