研究課題
基盤研究(C)
本年度は4年に1度の国際経済史学会の開催年に当たっていたため、2006年8月にフィンランドのヘルシンキで開かれた同学会に出席して報告し、中国、香港、イギリス、アメリカなどの研究者と議論を交わし、本研究テーマに関しても認識を深めることができた。また国内においては中国企業史研究会が中心になって開いたワークショップに主催者の1人として参画し、上海、天津、香港、台北、アメリカなど世界各地の中国企業史研究者と研究の現段階について広い視野の中で討論し、新たな知見を得ることができた。なおこのワークショップの成果は、2007年4月、『中国企業史研究の成果と課題』として刊行される運びになっている。一方、史料収集面では次のような成果を得ている。まず日本国内のアジア経済研究所、東洋文庫、国会図書館などに所蔵されている文献を対象に、1940年代中国・香港・台湾における綿業の動向を報じた雑誌類(『日本紡績月報』、『台湾銀行季刊』、Far Eastern Economic Reviewなど)の記事から史料を集め、その整理を進めた。2007年3月には杭州の浙江省図書館古籍部でも予備的な史料調査を行った。また浙江大学で開かれた江南地域の近現代史を総合的に考察する研究プロジェクト打合会議の際、江蘇省の無錫を中心に綿紡績業の歴史を調査する計画を中国側研究者に説明し、彼らの理解を得た。そのような研究活動を基礎に、2006年10月には東京大学教養学部で開催されたシンポジウムで中国語によって、また2007年1月には大阪大学で開催されたグローバル・ヒストリーに関するワークショップで英語によって中間的な研究成果の報告を行い、とくに後者の内容は論文にまとめ公表した(後掲Development of Cotton Industry in Postwar Hong Kong and Taiwan)。
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AKITA, Shigeru, Creating Global History from Asian Perspectives, Proceedings of Global History Seminars and Workshops
ページ: 109-125
姫田光義編 『中国の地域政権と日本の統治』 慶應義塾大学出版会
ページ: 273-307
朱蔭貴・戴鞍鋼編 『近代中国 : 経済与社会研究』 復旦大学出版社
ページ: 88-123
歴史学研究 通巻815号
ページ: 43-50