戦後ドイツ工作機械工業史についてのわが国ならびにドイツでの先行研究の概要を調査した上で、平成18年夏の3週間、ドイツに滞在し図書館や史料館を訪ねて、研究史の動向ならびに資料の存在を確認し、雑誌記事や社史も含め必要な資料を入手して帰国した。 この結果、先行研究としてはOttwaskaならびにHaakによる研究が存在するが、どちらも企業レベルの研究には着手していないことを確認し、この空白を埋めることにより新たな知見を得ることができるのではないかとの確信を得て、研究を進めているところである。同時に、戦後史の研究のためには戦時中のドイツ工作機械工業についても整理しておく必要があることを実感し、並行してその整理作業を行い、平成18年12月27日には京都大学関係者によって構成されている経済史研究会において「第二次大戦中のドイツ工作機械工業」というテーマで報告した次第である 研究成果は平成18年度中には発表できなかったが、現在、5月26日に創価大学で開催予定の社会経済史学会第76回全国大会自由論題での発表のための準備と並んで論文を書き進めているところであり、平成19年度中には活字化できる見通しである。経営史の研究手法も取り入れた一連の研究を通じて、これまで知られていなかった、戦災・賠償・デモンタージュの波に翻弄されつつ、力強く回復していくドイツ工作機械工業の現場レベルの実態が解明される予定である。さらに、本研究は間接的にはアーベルスハウザー論争に象徴されるドイツ経済史・経営史研究にも一定の貢献ができるであろうと思われる。
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