研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本企業を取り巻く企業間システムを、企業間システムがイノベーションを刺激する関係を中心に分析した。研究の方法は、産業別・分野別の国際比較であった。研究代表者の川端望は東アジアにおける鉄鋼企業の比較分析、研究分担者の福嶋路は日米産学官連携システムの比較分析、大田康博は日伊繊維産業産地の比較分析をテーマとして、それぞれ実地調査を含む調査研究を行った。研究協力者として王蕾が中国の大学リサーチパークの分析を行って福嶋の分析を補い、王保林が中国における外資系自動車企業と民族系企業の比較を行って事例を豊富化した。代表者・分担者による研究の成果として、査読付き学術雑誌論文1本、査読付き学会大会フルペーパー1本、図書収録論文2本を発表し、また3回の学会報告を行った。また、研究成果の共有と発表、残された課題の確認のためにシンポジウム「開発・生産ネットワークの国際比較」を東北大学で開催した。研究の結論は以下の通りである。(1)従来競争優位を保持していた自動車企業や鉄鋼企業をとりまく企業間システムは、マイナーチェンジによってなお競争力を保っている。(2)1980年代以来再編の課題を抱えている繊維産地は、いまだに決定的な解決策を見いだせずに縮小を続けているものの、システム構築の方向は明らかになってきている。(3)新たな産業創出の対象である産学官連携システムは政策的に創出され、制度として一定の定着を見せているが、構成主体の活発な活動によって支えられているとはいえない。これを要するに、21世紀最初の10年における日本の企業間システムは、産業を取り巻く情勢の変化や、政策・制度の変化に比べると、ゆるやかに転換しているのである。情勢や政策・制度の急速な変化にまどわされることなく、実態としてのシステムの変化の速度を見極め、その根拠を明らかにしたことが、本研究の独自の意義といえるだろう。
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アジア経営研究 14(印刷中)
Ajia Keiei Kenkyu (The Journal of Asian Management Studies), Scholarly Association for Asian Management No. 14
Triple Helix VI proceeding (full paper) CD
in Hajime Sato ed., Ajia ni Okeru Tekkogyo no Hattenn to Henyo (Development and Restructuring of the Iron and Steel Industry in Asian Countries), Institute of Developing Economies 35
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