研究概要 |
1.鉄鋼販売システムおよび鉄鋼原料調達システム:田中は日本の自動車用鋼板取引制度の企業別の違い(雑誌論文1)、鉄鋼企業と総合商社との分業による原料調達の歴史的変遷を概括し、米国との比較における特徴を明らかにした(学会発表4,図書2)。 2.自動車部品サプライヤーシステム: (1)中山は中国、タイ、米国などでの資料・現地調査を通じて、日本企業による自動車部品の現地生産を進めるうえで現地研究開発体制の構築が課題となっており、ホンダなど完成車メーカーによる支援が進められていることを明らかにした(学会発表5,6など)。 (2)李は韓国自動車部品サプライヤーの全体像を分析した。90年代末の経済危機以降、外資による合弁・系列化が進むとともに短期的には業績改善がみられたが、潜在的脆弱性を孕んでおり、長期的にはグローバル戦略提携だけでなく系列サプライヤー育成の必要がある(学会発表8など)。 (3)田中は中国国有企業による日本型サプライヤーシステム導入事例を検討した(学会発表1,2,3)。 3.また企業間システムの土台となる雇用システム、生産システムについても各自研究を進めた。 4.以上をふまえ、次のような総括の見通しを得た。(1)日本型企業間システムとは分業による事業システムであり、(2)所有支配よりもプロセスを通じた機能的統合を追求する点に眼目がある。(4)それは持続的経済拡大局面での長期的調整および革新的適応に強みをもつ一方、停滞および環境激変局面での革新的適応では弱点をもつ。(4)東アジアの後発工業化局面に適しており、中長期的に移転・普及が続くと考えられる。以上の知見について早急に成文化するよう努力したい。
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