わが国の小規模集団型介護施設の手本となったのはスウェーデンの老人ホームであるが、現在、コミューンの財政悪化の影響を受けて、低コスト型の介護サービス組織を再構築する段階に入っている。それに対して、わが国の老人ホームでは介護報酬が下げられ、介護マンパワーを質・量ともに十分に確保することが厳しくなる一方で、利用者・家族からは介護サービスの質の向上が求められ、介護サービスの質の向上と低コスト化の両立が新たな課題となってきている。そこで、今年度の研究では、わが国とスウェーデンの老人ホームにみられる組織変革と低コスト化の動向を調査した。 スウェーデンの老人ホームでは、主として介護職員の配置状況(各時間帯の職員配置数)および勤務シフト(早出、遅出、日勤、その他の勤務シフトと勤務時間)の変遷に目を向けるとともに、食事、入浴、排泄を中心とした3大介護に関わる介護業務の見直しについて、現状を概要調査した。 わが国の老人ホームでは、介護サービスの中核にある経営理念および介護理念が重視されているため、まず、それらの変遷に目を向けることにした。そこで、介護保険制度実施前から現在までの経営理念および介護理念の形成プロセスを調査した。これらの理念は、施設を取り巻く環境の変化に伴い、環境適応するために変革されている場合があるため、そめ変革プロセスも合わせて調査した。それとともに、低コスト型の介護サービスシステムを構築する方法については、マンパワーの最適化と介護業務の見直しの観点から現状を調査した。
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