研究課題
平成19年度は、日米中台において携帯電話端末メーカー、通信事業者、デザインハウス、ODMベンダー、チップ/ソフトウェア・ベンダーに対して、インタビュー調査を行った。同時に、関連する資料やコンファレンスを通じ、産業構造、業界動向、技術についてのより詳細な情報の収集を進めた。こうした調査の成果を総合し、顧客通信事業者に特有の知識と関連したプラットフォーム(コア・チップと関連ソフト・サービス)活用について検討した。日米と比べ、中国においては、企画や開発のプロセスが特定の通信事業者固有の知識に依存する傾向は皆無に近く、標準プラットフォームを土台に汎用性の高い端末が開発されている。一方、日米では顧客通信事業者への対応やプラットフォーム開発におけるメーカーのシステム知識活用については共通性があるものの、明確な相違が存在する。日本では共通プラットフォームが、大手2通信事業者、ベンダー、メーカー間で共同開発・導入されており、顧客固有の基本的な技術要件は開発上流のプラットフォーム開発において反映されている。これに対し、米国では、こうした共同開発プラットフォームは皆無である。メーカーはベンダーの標準プラットフォーム開発に協力することはあるが、顧客に特有の仕様は案件に応じて開発中流以降のプロセスで作りこんでいる。いずれの地域においても、開発効率向上のため共通プラットフォーム活用によって、開発におけるシステム統合の多くが代替されている。しかし、顧客に特殊な知識が活かされる領域の違いにより、プラットフォームの範囲/汎用性、それに応じたメーカー側のシステム知識活用の範囲、対顧客インタフェースのあり方には相違が生じている。このように、顧客に特殊な知識を吸収する領域やそれに応じたプラットフォームの範囲/汎用性が、開発におけるシステム統合や関連する企業間関係に影響していることが、明らかにされた。(794字)
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Annals of Business Administrative Science Vol.6
ページ: 35-69
MMRC, The University of Tokyo, Discussion Paper No.225
ページ: 30