研究課題
平成19年度の研究は、フロント・エンド・ローティング(以後FELと略称する)の仕組みにより傾注した研究を指向した。他方で、この研究を包括するハイ・パフォーマンス製造企業国際共同研究のデータベースが8カ国まで使える状態になったため、フロント・エンドにおける問題が経営の業績持続の障害になることの仮説を、それらデータベースを使って追証分析をおこなった。結果的には日本企業と同様な結果となってその仮説の一般性が確認できた。戦略的レベルでのPDCAサイクルを構築し、それを実働するプロセルは内外を問わず、重要な経営課題であることを確認した。また品質という特定成果についても情報ネットワークが戦略的側面から現場まで組織全体のつながりとして活性化している場合に高まることも確認された。仕組みに関しては実際の企業へのインタビュー調査においても明確なFELの体系化がない企業が多く、枠組みを構築するにはそれだけでは不十分であることがわかった。今後は調査を踏まえながら、規範的アプローチを交えて試行的仕組み化をおこない、それとの対比で(枠組みを基に討議し)実際の問題を明確化するアプローチが望ましいこともわかった。仕組み化における知見としては、1.業種(製品などの事業)ごとにアプローチが異ナリウルコトモ判明した。端的には、それらの背後にある製品およびプロセス技術特性などの構造が評価体系あるいは方法に影響するということである。2.従来のフロント・エンドの定義(開発業務から対象になる)は狭すぎること。企業が製品やサービスの価値は企業の創造価値の定義における不明寮性によってその定義はゆらぐ。したがって、FELは上の実証分析でも述べたが、企業の追求価値の定義や経営スタンス(たとえば長期指向か否か)の問題についてもその対象を拡大していくべきである。以上の知見を踏まえ、次年度ではさらにFELの仕組みについて研究を深化させることを企図している。
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The proceedings of the 18^th Annual Conference of the Production and Operaatons Management Society(Digital proceedings)
ページ: 27
The proceedings of the 14^th International Annual EurOMA Conference(Digital proceedings)
ページ: 10
日本情報経営学会誌 28
ページ: 39-48
第2回横幹連合コンファレンス
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