本研究は、中小企業新事業活動促進法の認定企業を主要な分析対象とし、革新的な中小企業が技術開発力を基盤として成長を達成するための経営と支援に関して、経営戦略、トップマネジメントの企業家的活動、ガバナンスの個々の側面と諸要因の関連性の検討、およびアメリカにおける技術開発型中小企業支援プログラム認定企業との国際比較分析を行うものである。とりわけ、新規性を伴うさまざまな事業アイデア、技術的発明や科学的発見の成果などを事業化にまで導くという、企業家的活動を中心とした分析視角から革新的中小企業の経営と支援に関する問題の所在と今後求められる対応を明らかにすることを目的とする。 平成20年度は、まず、これまでレビューしてきた主要な文献・資料と実施してきた調査結果を踏まえて、中小企業新事業活動促進法の認定企業のイノベーション、企業家的活動およびガバナンスを主たる要因とする視点からデーターの解析と事例分析の更なる検討に努めた。次に、ベンチャー企業・技術開発型中小企業の創出ための企業家的活動に関する理論的な展望と技術系創業経営者の企業家的活動についての事例研究の追加調査結果をもとに論文にまとめ、「企業家的活動と大学発ベンチャー」として明石芳彦編『ベンチャーが社会を変える』に収録した。中小企業新事業活動促進法の認定企業の定量的分析については、中小企業新事業活動促進法の認定企業2451社を対象とした郵送質問票による調査で得られた総計527社からの回答をもとにした3つのデーターベースを構築したが、より精緻化した分析を行うため、連携研究者の大阪経済大学経営学部江島由裕教授とともに引き続き理論的・実証的分析を試みている。
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