新しい人材マネジメントの特徴をまとめると、(1)人材の管理施策と経営戦略・組織文化の関連性と整合性の強調、(2)人材の能力開発・育成・活用のための管理システムの設計・運営、(3)人材の人間的側面の尊重と処遇の公平性と公正性の確保・維持の3点になる。 こうした新しい人材マネジメントは、MOT人材をはじめとするマネジメント人材やプロエッション人材といった新しい価値を創出する人材を育成しなければならない責務を負っている。個人の能力は顕在(発揮)能力と潜在(保有)能力があり、その潜在能力を向上させ組織能力を増強するためには、基本的に3つの方法しかない。1つは、職場の上司などによる職場内教育訓練を通じて行われる人間系のコミュニケーションを通じての支援である。いま1つは、組織による能力開発システムの支援であり、最後は何にもまして各人の個人学習ならびに集団学習を通じての自己啓発がより重要となる。 新しい人事部門における人材の育成に関しては、個人的かつ組織的能力の向上を図るため、上記の3つの方法をより企業のビジョンや戦略と連携させるとともに、インフラ整備が必要である。したがってそのトップには、経営陣の戦略パートナーとして、財務部門と肩を並べる地位と権限を有する最高人事責任者の配置が不可欠である。 また、同部門の運営のために、人材マネジメントの専門家であるとともに、サーバント・リーダーであり、従業員の擁護者の役割を果たすスタッフの育成が望まれる。このように人事部門ならびに人事スタッフが上記の役割を果たすことで人材マネジメントが革新され、企業の競争力が創成されることになろう。
|