研究概要 |
本年度は、研究の総括として、「アジア太平洋のフロンティア地域の国際経営」に関して、制度理論研究、およびカンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム(CLMVT)、中国を中心として研究した。その成果として、単著『アジアフロンティア地域の制度と国際経営』(文眞堂)を出版した。 この著書では、制度とは何か、地域統合としてAFTA,地域協力としてのGMS(大メコン圏開発),CLMVTの企業経営環境、および制度としてのアジアフロンティア地域の会社法とコーポレートガバナンス、労働関連法と人的資源管理、外資法と外資政策、などについて研究した。本研究では、アジアフロンティア諸国の企業経営環境、法制度、特に会社法・外資法、および労働関連法を重点的に取り上げた。本研究の特徴として以下がある。 第1は、制度と国際経営という視点から研究である。国際経営研究において、経営学の視点での研究のみならず、国際経営環境・制度の視点での研究が重要である。すなわち、企業のグローバル化は、異質な環境・制度下での企業競争という状況であるため、国内戦略以上に、経営環境・制度への認識が重要である。本研究では、制度の先行研究についてサベイを行い、CLMVTと中国の法制度(会社法、労働法、外資法など)、経済制度などを中心に考察した。 第2は、地域研究という視点から研究である。本研究は、CLMVT、中国の地域研究の視点での研究も志向した。さらに、アジアフロンティア地域共通のインフラ整備・経済開発協力として注目されているGMS(Greater Mekong Subregion:大メコン圏)開発についても触れた。 第3は、法と経営という視点からの研究である。本研究では、企業経営と制度という観点から、理論的・実証的に解明した。アジアの労働法と人的資源管理政策、アジアの会社法とコーポレートガバナンス政策、アジアの外資法と外資政策について重点的に研究した。
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