1. 図書・文献にもとづいて文献研究を行った。 2. 学会、研究会に出席し、報告を聞くとともに意見交換を行った。 3. 国内外の企業を訪問し、また電話等の聞き取りにより、IT・ソフト系企業における人的資源管理システムの現状ならびに、直面している問題点を探るとともに、IT化やソフト化が人々の働き方、ならびに組織・マネジメントにどのような影響を及ぼしているかを聞き取り調査した。 とりわけ本年度は、創造的・革新的な仕事に携わる従業員の意欲・生産性を向上させるマネジメントとして「承認」による動機づけに焦点を当て、具体的にどのようなマネジメントが行われているのか、有効なマネジメントはどのようなものなのかを研究した。 [主な発見事実] IT化やソフト化にともない、個人の能力格差が増幅された形で成果に反映されるようになった。その結果、従来に比べて処遇に格差をつける傾向が広がりつつある。とりわけ処遇の平等を旨としてきた日本企業では、成果主義へと緩やかにシフトする現象が見られる。 またIT、とりわけインターネットや携帯電話などの普及によって、物理的には必ずしも出社しなくても仕事ができる環境が整ってきた。そのため欧米企業では、在宅勤務や裁量労働制度が広がり、勤務時間・勤務場所という概念そのものが薄れつつある。そして、仕事の成果、役割がいっそう明確に問われるようになってきている。それに対し日本企業では、社会的・制度的な理由により、そのような勤務形態はそれほど広がっていないのが現状である。 近年、「承認」による動機づけの重要性が認識されるようになり、日本企業でも積極的に「ほめる」マネジメントや表彰制度の導入などに力を入れるところが増えている。欧米企業ではそれがいっそう進んでおり、リーダーシップやコーチングの手法として、またさまざまなタイプの表彰制度として実施されている。 なお、研究結果の一部は著書等の形で発表している。
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