研究課題/領域番号 |
18530321
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研究機関 | 奈良産業大学 |
研究代表者 |
宮坂 純一 奈良産業大学, ビジネス学部, 教授 (30128821)
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研究分担者 |
矢倉 伸太郎 奈良産業大学, ビジネス学部, 教授 (90031393)
西村 剛 奈良産業大学, ビジネス学部, 教授 (60320793)
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キーワード | コミュニティ・ビジネス / 社会的目的 / 公共善 / 地域金融 / 人材不足 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、我々が独自に作成したCB特定化メルクマールに合致するCBについてデータを収集した。しかし調査を進めれば進めるほど、奈良県のCBが厳しい状況に置かれていることが判明した。すでに活動を停止していたりあるいは「開店休業状態」になっているCBがかなりある。CBの発達を阻害している要因は、端的に言えば、「資金の確保が難しくなってきたこと」と「後継者難」である。そこで、一旦方針を転換し、過年度に訪ねた他県のCBを再度訪ね、その後の状況を確認した。だが奈良県よりはひどくはないがほぼ同じような状況下にあることが判った。この不況下に「社会的目的」を掲げ「公共善」をめざしても、なかなか根付かず長期的に継続するビジネスにまで育つのは容易ではない、という現実である。 奈良県下でCBを展開していたあるいはその意思を持続している事業体をほぼ確認できたことが本年度の成果であり、本研究のひとつの目的であった奈良県CBマップの作成の目処は立ったと考えている。これによってはじめて奈良県CBの全体像を把握することが可能となったのであり、これからの研究の基礎資料となるであろう。 しかし、奈良県のCBの実態のヨリ詳細な分析は今後の課題となってしまった。現在、収集したデータを組み直し、分析枠組みの再構築も含めて、資料の検討を続けている。ちなみに、我々が確認した(奈良県下だけではなく直接調査を実施した他府県でCBを展開している)事業体及び支援機関には過去に公表した論文の抜き刷りを配付し、相互の意思疎通のルートを確保し、今後の研究につなげる方途を講じている。また、社会的企業について検討した成果の一部は、2009年秋に公刊される片岡信之他編『アドバンスト経営学』中央経済社に「経営の道徳性」(宮坂純一執筆)として収録される。
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