研究概要 |
昨年度は,オーストラリア企業1800社あまりに,会計人がどのような役割を果たしているのかをアンケート調査を行い,日本で言われている会計人とどう違うのかから,グローバル企業の生き方について考察した。調査対象者はコントローラーと呼ばれる,企業の会計関係のトップであり,どのような教育・役割を果たしているのかを調べるのが目的である。回収できたのは59社,主として中堅企業がメインであった。この調査から明らかになった一番の成果は,会計人の役割が非常に多岐に渡っておりそのためコントローラーの役割が,他の国以上に重要であることである。日本と異なり職能別の採用が行われているオーストラリアでも,コントローラーの役目は非常に多岐にわたっており,それ故,一つの企業に長くいないと上手く行かない現状があることが明らかになったのが,一つの成果である。外資系企業のグローバル化を考えた際,現地の優秀なコントローラーを,いかにして雇うのかが大きな課題であることが,この調査から見えてきた。 次にそのコントローラーの教育だが,大学の教育が役立つと回答した人とそうではない人の割合は拮抗しており,大学教育が実務の世界で役に立たない,というわけではないことが,日本との対比では興味がひかれる。ただ,全面的に役立つと言うことではなく,イントロダクションとして興味を持たせる役割が大きい,というのが本音のようである。グローバルの人材を育てる上で,大学の役割・存在意義が確かめられたと考えている。
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