研究概要 |
計量モデル開発に関する研究では、前年度に構築した「消費者の買物利便性を考慮した商業施設の立地評価モデルのプロトタイプ」を使用して、実査によって得られたデータによる算出結果の評価に取り組んだ。まずは、堺市内の消費者調査から得られた1,795サンプルのデータ、商業統計表による商業集積データを使用して、地域の買物利便性と商業施設(商業集積)を評価する研究を進めた。モデルから算出された値を吟味する段階まで研究を進めることができた。その成果に関しては、日本行動計量学会全国大会において、「消費者の出向データを用いた地域の買物利便性の測定と評価」というテーマで報告を行った。さらに、算出した結果を吟味するなかで、数値の評価に課題があることが判明したことから、当モデルの抱える問題と今後の課題に関して、日本経営診断学会関西部会において「地域買物利便性測定モデルの妥当性と有用性」というテーマで報告を行った。 また、商業政策が地域社会に与える影響を考慮した商業政策のあり方と方法論の構築に関しては、イギリスにおいてノッティンガム、バーミンガム、コベントリーなどタウンセンターの現地調査、およびATCM(イギリスタウンセンターマネジメント協会)やカムデンタウンなどタウンセンター・マネジメント組織あるいはBID(ビジネス・インプルーブメント・デイストリクト)組織のヒアリング調査を実施した。また、大型店出店規制など商業政策の変遷が日本の小売業態の発展に与えた影響について、日本商業施設学会関西部会および全国大会で研究報告を行い、論集に掲載した。また、中心市街地活性化政策にいたる日本の商業振興政策について、慶應義塾大学出版会から出版された『流通と消費者』において、「流通振興政策」という論題で分担執筆した。
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