研究概要 |
当該研究は,各企業におけるコーポレート・ガバナンス・システムが経営者の会計情報開示政策に対してどのような影響を与え,またそのもとで開示される会計情報が当該企業業績に関してどの程度の情報内容をもっているのかについて,経済学的な視点から分析することを第一の目的とし,さらに,コーポレート・ガバナンス・システムおよび経営者の会計情報開示政策が,企業業績とどのように関連しているのかについて実証的に明らかにすることを第二の目的として取り組むものである.この目的のため,平成18年度では,経営者行動に影響を与える要因を抽出することに主眼を置き,過年度に行った福島県内の製造業企業に対するアンケートによる聞き取り調査の再集計およびより詳細な分析を試みた.この結果,中小規模の製造業企業では,自社の持つ技術的要因のみならず,資金調達可能性や人材の確保および内部組織形態のあり方など,財務的要因や組織的要因が経営者の事業拡大意欲に影響を与えていることが明らかになった.このことは,コーポレート・ガバナンス・システムと企業業績とが関連しうることを示す重要な証左である.したがって,平成19年度においては上記の調査結果を踏まえつつ,より詳細で精度の高い調査を大企業も含めたより広範囲な企業に対して行うことで,より普遍的かつ頑健性ある結果を得たいと考えている.なお,上記の調査結果は,高崎経済大学経済学部編集による新書(平成19年6月発行予定)において,論文として掲載されることとなっている.
|