研究概要 |
当該研究は,各企業におけるコーポレート・ガバナンス・システムが経営者の会計情報開示政策に対してどのような影響を与え,またそのもとで開示される会計情報が当該企業業績に関してどの程度の情報内容をもっているのかについて,経済学的な視点から分析することを第一の目的とし,さらに,コーポレート・ガバナンス・システムおよび経営者の会計情報開示政策が,企業業績とどのように関連しているのかについて実証的に明らかにすることを第二の目的として取り組むものである.この目的のため,平成19年度では,昨年度に行われた経営者行動に影響を与える要因を抽出する目的での福島県内の製造業企業に対するアンケート調査の再集計およびより詳細な分析における結果を論文としてまとめた.ここでは,中小規模の製造業企業において自社の持つ技術的要因のみならず,資金調達可能性や人材の確保および内部組織形態のあり方など,財務的要因や組織的要因が経営者の事業拡大意欲に影響を与えていることが明らかになった.これによりコーポレート・ガバナンス・シシステムと企業業績とが関連しうることを示す重要な証左を得た. また,19年度ではコーポレート・ガバナンス・システムおよび企業財務報告システムにおいて,その充実がいまだ図られていないと考えられる建設業企業に着目し,それらのシステムの確立度合いやそれらに対する経営者の意識等と企業業績との関連を分析した.当該分析では,福島県に存在するおよそ200社の建設業企業に対してヒアリング調査を行った.この研究によって,コーポレート・ガバナンス・システムや財務報告システム等の確立度合いおよびそれらに対する経営者の意識が,企業業績のみならず経営行動にも大きな影響を与えていることが明らかになった.当該研究の結果は,20年度において論文として発表する予定である.
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